子宮頸部の細胞を採取して、HPVに感染しているかどうかを調べるHPV検査。もしこのHPV検査で陽性判定が出てしまった場合、どう行動すべきなのでしょうか。
このページでは、HPV検査が陽性と判断された後の考え方や検査について詳しく解説します。
がん検診のHPV検査で陽性の判定が出たとき、誰もが不安になってしまうものです。しかし、HPV検査が陽性で「要精密検査」といわれたからといって、がんと決まったわけではありません。
子宮がん検診を受けた人のうち、HPV陽性と出る人の割合は100人に1人ですが、そのうち子宮頸がんの発見率は0.06%と非常に低く、精密検査が必要な人の100人に6人程度です。
HPV検査ではハイリスク型のHPVに感染していることが分かりますが、必ずしも子宮頸がんになるわけではありません。あくまでもがんを発症するリスクがあるという結果です。しかも、HPVは自分の体の免疫力によって自然に排除されるケースが多く、一度陽性の結果が出ても再検査をすると陰性になる場合もあります。
HPV陽性が出ても過度な心配はせず、まずは精密検査を受けましょう。
※参照元:的野ウィメンズクリニック横浜 (https://www.matono-womens.com/ippan/cancer/cancer)
HPV検査で陽性と判定された場合、精密検査を行います。ここからは、HPV陽性判定後に行う検査の種類や流れを解説します。
子宮頸部の細胞を詳しく調べるために、診察台で視診を行ったあと、ヘラやブラシなどの専用器具を使い、子宮頸部から細胞をこすり取って行う検査です。
器具を入れて細胞を採取する際、人によっては違和感や不快感を持つことがありますが、リラックスして受ければすぐに終わります。多少にじむような出血が生じるケースがありますが、長くても2、3日程度ほどで自然に止まります。
多くの医療機関ではナプキンが備えられており、検査後にナプキンをしておけば問題ありません。心配であれば、ナプキンを持参しておくと安心です。
※参照元:イーヘルスクリニック新宿院(https://ehealthclinic.jp/checkup-blog/2023/02/17/3601/)
コルポスコピー検査とは、コルポスコープと呼ばれる拡大顕微鏡を使い子宮頸部を観察する検査方法です。膣内や頸部を拡大し、肉眼では分かりにくい所見を観察します。
観察しやすいよう膣内をお酢で加工しますが、お酢の加工時に多少染みる場合があります。お酢によって正常な部分と病変部分がはっきりしたら、頸部の写真を撮ります。
病変部分の診断のために、頸部の一部の組織を取って病変の深さを調べる「頸部組織診」もあわせて行うのが一般的です。
HPVのうち、子宮頸がんになりやすいとされる代表的なハイリスク型HPVへの感染を判定する検査です。感染するHPVのタイプによって子宮頸がんへ進展するリスクが異なるため、リスクに応じた管理をするために行われます。
HPVタイピング検査を行うのは頸部組織診でCIN1、CIN2と診断された方です。
検査方法は、頸部細胞診と同じくヘラやブラシなどの専用器具を使って頸部から検体を採取します。ほとんど苦痛を感じることなく短時間で終わる検査です。
※参照元:貴子レディースクリニック(https://takako-ladies.com/menu/コルポスコピー検査(頸部精密検査)/)
HPV検査では、一度陽性が出ても再検査をすると陰性になったり、一度陰性になっても陽性が出たりする場合があります。HPVに感染したからと言って必ずしも子宮頸がんになるわけではなく、あくまでも感染リスクの有無を知るための検査方法なので、過度に不安にならず落ち着いて行動しましょう。
HPVは、感染してから数年後~十数年後に子宮頸がんを発症する特徴があります。HPV陽性が出た場合はまず精密検査を行い、医療機関の指示に従いながら定期的に細胞診を受けるようにしてください。