手術・抗がん剤治療・放射線治療など、子宮頚がんの治療を受けたあとの生活について解説していきます。
子宮頸がんの術後は、合併症や後遺症の有無、再発や転移を防ぐために定期的な経過観察を行います。子宮頸がんにおける、標準的な経過観察の目安は以下の通りです。
経過観察中の検査には、内診・経腟エコー検査・触診・細胞診・胸部X線検査・CT・MRI・PET・腫瘍マーカー・直腸診などがあり、再発リスクや全身状態などに合わせて検査内容を決定。とくに子宮頸がんの再発は骨盤内に生じることが多いため、内診・経腟エコー検査・直腸診は再発の早期発見に有効であるとされています。
CT・MRI・PETといった画像検査は、再発が強く疑われた場合の精密検査として用いられますが、医療機関によっては早期発見を目的とした定期検査のひとつとして実施するケースもあるようです。
子宮頸がんの術後の生活については、受けた治療内容・体の状態によっても異なります。以下に、一般的な注意点についてまとめてみました。基本的には、医師・看護師などの専門家の指導に従うようにしましょう。
高血圧などの症状がなければ、食事については通常通りとなります。栄養バランスに配慮し、1日3食を基本に楽しく食事をとるようにしましょう。
ただし、外科手術や放射線治療の術後は腸閉塞(腸が詰まり、腹痛・吐き気・便秘などが起こる)を発症する恐れがあるため、消化しにくいメニューや食物繊維の多い食材は控えたほうが良いでしょう。
どの治療法であっても、術後は体力が低下傾向にあります。疲労を溜め込まないようムリな運動は控え、疲れたらすぐに休養をとるようにしましょう。
運動については、体力の回復に合わせて少しずつ開始するのがおすすめ。軽い散歩やウォーキングなどから始め、徐々に運動量を増やしていきましょう。
骨盤や足の付け根にあるリンパ節を除去した場合、リンパの流れが滞りやすくなり、下肢がむくむことがあります。この症状は術後すぐに起こることもあれば、数年後に症状が見られることもあるようです。
むくみが見られたときは足のマッサージを行う、専用の弾性ストッキングを着用するなどして改善を試みましょう。あまりにも症状が重い場合は、ムリをせず主治医に相談してください。
広汎子宮全摘術など、広い範囲にわたって子宮を切除する手術を受けた場合、排尿に関する神経が傷つき排尿障害を起こすことがあります。症状として見られるのは、尿意を感じにくい・尿意があってもうまく排尿できない・尿漏れが起こりやすい、などです。
こうした症状が見られる場合は、排尿を促す薬やトレーニングを行うことで改善が見込めますが、人によっては長期にわたって症状が残ることもあるようです。
50歳以前に子宮とともに卵巣を摘出したケースや、骨盤内に放射線治療を行った場合に、卵巣欠落症状が見られることがあります。発汗・のぼせ・イライラ・不眠・尿漏れなど、更年期障害によく似た症状が現れます。
ホルモンバランスが大きく崩れることが原因となっているため、必要に合わせてエストロゲン製剤などの投与を受けます。
手術や放射線治療を受けたあとでも、性生活をあきらめる必要はありません。ただし、術後は膣の乾燥・痛み・出血などの症状が見られることもあるため、体の状態や主治医の指示に従って、少しずつ再開することが大切です。
体のことも心配ですが、とくに子宮頸がんをはじめとする婦人科系がんの場合、精神的な不安が性生活に影響を及ぼすことがあります。性生活に対してすぐに前向きになれないことも自然なことであると考え、リラックスして過ごすようにしましょう。