子宮体がんの治療を控えている方が知っておきたい合併症のひとつに、「リンパ浮腫」があります。リンパ浮腫は、進行が早く治療が遅れると症状の改善が難しくなる可能性があるため、早期の対応が必要です。
リンパ浮腫の特徴や初期症状、進行の様子、受診の目安などをわかりやすく解説します。
リンパ浮腫とは、リンパ液の流れが滞り、皮膚の下にたまってむくみが起こる疾患です。子宮体がんをはじめとしたがん治療により、リンパ管やリンパ節が切断、切除されることで発症するケースがあります。
進行すると、手足が重く感じたり、関節を動かしづらくなったりして、日常生活に支障をきたします。
リンパ浮腫は、リンパ液の流れが妨げられることで起こります。リンパ液の主な働きは、体内の老廃物や異物を回収し、リンパ節に運んで処理することです。
子宮体がん治療によってリンパ節やリンパ管を切除すると、リンパ液の流れが悪くなり本来の役割を果たせずに、むくみが発生します。
上肢リンパ浮腫では、二の腕や背中、側胸部に張り、痛み、だるさなどの違和感が現れます。
見た目に変化がなくても、不快感があれば上肢リンパ浮腫のサインの可能性あり。症状の感じ方は個人差が大きく、見た目に兆候がないうちから違和感を覚える方もいれば、見た目が大きく変化してから異変に気づく方もいます。
下肢リンパ浮腫は、足や太もも、恥骨の前、臀部の外側に症状が出ます。上肢リンパ浮腫と同様に、張りやだるさ、痛みなどから始まり、徐々にむくみが目立つようになります。
子宮体がんの手術後は、下肢のリンパ節に影響が及ぶ可能性が高く、特に脚や下腹部のむくみに注意が必要です。以下のような点を日常的にチェックしてみましょう。
上記のチェックに加えて、むくみが出やすい部位を定期的に計測するのも有効です。
初期(0期)では、見た目のむくみはありませんが、違和感や張りがあります。Ⅰ期になると、患部がむくみ始めますが、夜に足を高くして休めば改善される段階です。
進行してⅡ期になると、むくみは慢性化し、患部を指で押すと跡が残るようになります。さらに、Ⅱ期後期では、皮膚上部の脂肪細胞が硬くなり、指で押しても跡が残らない状態に変化します。
子宮体がんの手術後に皮膚の張りやむくみなどの違和感がある場合、見た目に変化がなくともなるべく速やかに医師に相談することが大切です。早期に治療を開始すれば、負担を抑えやすく症状の進行も防ぎやすくなります。
子宮体がんの手術後は、むくみや重だるさを軽視せず、早めの受診を心がけましょう。