どのような治療法であっても、つきものなのが副作用。がんの放射線治療であるトモセラピーには、どのような副作用が考えられるのでしょうか。気になる情報をまとめました。
IMRT(強度変調放射線治療)の専用機器であるトモセラピーは、2複雑な形状のがんに合わせて放射線照射の位置・範囲・方向・時間を調整できるのが特徴です。
従来の放射線治療では、がん細胞に隣接した正常組織への放射線照射が避けられず、副作用が重くなりやすいというデメリットがありました。
しかし、トモセラピーの場合は照射機器がCTのように体のまわりをらせん状に回転しながら、がん病巣のみに集中して放射線を照射できます。2適切な強度に線量を調整でき、正常組織へのダメージも抑えられるため、副作用が軽くなりやすいというメリットがあるのです。ちなみに、トモセラピーによる治療は痛み・出血を伴いません。
トモセラピーによる副作用は、照射する部位・範囲・線量によって異なり、多少の個人差も見られます。しかし、基本的に放射線を照射していない部位に影響はありません。
照射する部位によっては、頭痛・下痢・咽頭痛・口腔内乾燥・皮膚炎・倦怠感といった症状が見られることもありますが、2従来の放射線治療に比べると程度や発現頻度は低いとされています。副作用については、医師がその都度診察を行いながら進めていくため、気になる症状がある場合はガマンせずに申し出ると良いでしょう。
一般的に、2子宮がんの放射線治療で起こりやすい副作用は下痢です。症状の重さには個人差がありますが、症状が重い場合は内服薬・点滴などを使って緩和を試みます。その他、食欲低下・頻尿・残尿感といった症状が見られることもありますが、トモセラピーの場合は軽度であることが多め。治療が完了すれば数週間ほどで回復へと向かうため、医師の説明・注意点をしっかり守りつつ、落ち着いて日常生活を送るようにしましょう。
トモセラピーをはじめとする放射線治療は、基本的に毎日継続して受け続ける必要があります。その理由は、「がん細胞は回復力に乏しい」から。
正常細胞であれば放射線照射でダメージを受けても1日以内に回復しますが、がん細胞は1日では回復不可能。つまり、弱ったがん細胞にさらに放射線照射を重ねることにより、死滅につなげていくのです。
21回あたりの照射時間は数十分と短いですが、1日でも休んでしまうと効果が薄れてしまうため、毎日病院に通わなくてはなりません。仕事や学校に通いながら受けられる治療ではありますが、長期間にわたることもあるため、ある程度の負担は覚悟する必要があるでしょう。
トモセラピーは保険適用でも受けられる放射線治療ですが、その適応は限局性がん(全身に転移していないがん、転移していても1つのみ)に限られます。固形の限局性がんであれば、どの部位であってもトモセラピーを保険で受けられますが、2多発性リンパ節転移・多発性骨転移などは保険適応とはならないのです。
しかし、保険適用外となっても自由診療であればトモセラピーを受けることができます。治療費が全額自己負担となりますが、部位や多発転移に関わらず治療を受けられるため、あきらめずに相談してみることをおすすめします。
トモセラピーは、2003年にアメリカで開発されたIMRT専用の放射線治療装置。日本での導入も進んでいますが、まだまだ治療を受けられる施設は限られています。
また、トモセラピーは従来の放射線治療装置と異なり、2らせん状の照射を行うのが特徴。放射線を照射したい部位、避けたい部位などをコンピュータで調整することができますが、高度な治療機器だけに医師の高い技量が求められます。
トモセラピーでの治療を希望する場合は、豊富な実績を持つ医療機関を選ぶよう心がけましょう。