子宮頸部から子宮部分をすべて摘出する手術です。膣につながる子宮を取り除きますが、膣はそのままです。
子宮体がんのように、子宮摘出だけを行ったときに再発が心配される場合や、転移していて完治が期待できない場合があります。がんのステージによっては、卵巣や卵管をまとめて切除することがあります。
単純子宮全摘出術+卵巣・卵管切除と同様の範囲の他に、子宮を支える組織の一部も切除します。転移のおそれがある場合や、再発のリスクが高い場合に適用される方法です。
リンパ節など広範囲に取り除く手術です。ステージが進行している場合に用いられ、治癒の可能性が高い手術となっています。
ロボット支援手術とは、da Vinci(ダヴィンチ)とも呼ばれる技術を搭載した手術支援ロボットを用いて行われる手術です。医師は直接患者にメスを入れるのではなく、ロボットアームが映し出す3D画像を元に治療を行います。
一見「ロボットを使用するほうが、緻密性に欠けるのでは?」と思うかもしれません。しかし繊細なロボットアームを活用しながら3D画像で手術を行うことで、高い視認性を得ることが可能です。したがって毛細血管など繊細な血管を傷つける可能性が低くなります。
日本では2018年より保険適応の手術となりました。これまでの治療法に代わり、今後一般的になっていくことが期待される治療法です。
開腹手術は医師の視認性が高く治療を行いやすい一方で、メスを入れる範囲が広く、患者への身体的な負担が大きい治療とされています。また範囲に応じて出血量も多く、術後の回復に長い期間を擁していました。
一方腹腔鏡手術は、細かな点まで見ることができる腹腔鏡を用いる一方で操作が難しく、日本国内ではごく少数の医師しか治療を担当できませんでした。
しかしロボット支援手術の場合、医師は開腹手術と同様の視認性で、患者は腹腔鏡手術よりもさらに少ない負担で手術を受けることが可能です。医師は3D画像を活用し、細かな治療ができるだけでなく、患者は出血や傷口を最小限に抑えられるため、早期回復を期待できます。
ロボットを利用するため、機器を購入するにしても、それを維持するにも高額になるため、どうしても手術費用が高くなってしまうことが挙げられます。また、持病や合併症を持った患者では手術が適応できない場合があります。ある程度のシステムが組み込まれており、エマージェンシーの対応が臨機応変にできないというデメリットもあります。その他に、医師の手技に関して、鉗子類に触覚がないため、ロボットでの手術に慣れるまでの経験が必要です。
ロボット支援手術が適用されるのは、ステージⅠ期の中でももっとも早期発見されたⅠA期です。他の部位への転移が見られず、早期に発見できたことから再発の可能性も低い場合に活用されます。
ロボット支援手術は子宮の全摘出のみに使用されると思っている方がいますが、子宮温存希望の場合でも自費で対応できる可能性があります。妊娠時期を考慮し判断されるため、必ずしも適応される治療法ではありませんが、妊娠希望、子宮温存希望がある場合、一度医師へ相談してみると良いでしょう。自身に適した医師を選択してみることをお勧めします。
子宮体癌の治療方法と医師(東京エリアほか)について情報をまとめました
世界的に認知度が上がっている治療法であるロボット支援手術は、世界における全体の症例数を見ると、2008年が30%、2009年34%、2010年には45%と着実に増加※しています。
傷や痛みを最小限に抑えることができる点が特徴で、開腹手術と比較した場合、手術時間こそ長くなるものの、出血量は約1/20、入院期間は1/4と圧倒的に小さな負担で済むのです。このような特徴を活かし、ロボット支援手術は、主にステージⅠ期の患者へ適用されます。
ロボット支援手術は、実際の患部は数mmであっても画面上ではもっと大きくみることができるため、医師のスキルはそのままに細かな操作ができる点が魅力です。
※参照元:ロボット支援手術「ダヴィンチ」徹底解剖(https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/davinci/department/sanfu.html)
手術支援ロボットda Vinci(ダヴィンチ)は、患者のお腹へ小さな穴を空け手術を行います。患者のお腹には二酸化炭素を入れることで、大きく膨らませながら治療を行うため、視覚効果を十分に得られます。
精緻な3D画像をもとに非常に繊細な作業に対応できるほか、傷口を小さく抑えることができるため、患者の負担を最小限に抑え、出血防止にもつながります。
画像はハイビジョンで構成され、実物と遜色ありません。ズーム機能も豊富で、どんなに細かな部分でも十分な手術が可能となります。
ロボット支援手術は、現在ではまだ浸透しきっていないものの、今後子宮体がんの治療法として一般的になっていくでしょう。また、保険適用が可能なため、想像以上に費用を抑えて先端技術を駆使した治療を受けることが可能です。
身体の負担を最小限に抑えたい、入院期間はなるべく短くしたいという方は、ロボット支援手術がぴったりです。まずは相談から初めてみてはいかがでしょうか。