子宮頸がんの原因とされるHPVに関する知識をまとめました。子宮頸がんになるリスクがわかるHPV検査についても紹介していますので、子宮がん予防の参考にぜひご一読ください。
子宮頸がんの原因のほとんどが、HPV(ヒトパピローマウイルス)への感染といわれています。
HPVとはヒトの皮膚や粘膜に存在するごくありふれたウイルスで、決して珍しいウイルスではありません。
ただ、多くの病気の発生に関わっており、子宮頸がん以外にも肛門がんや中咽頭がん、口腔がん、尖圭コンジローマなどを引き起こす原因とされています。
万が一、HPVウイルスに感染しても、ほとんどが自然に排除されるため体への影響はありません。しかし、HPVウイルスが長い間排除されず感染したままでいると、がんが発生すると考えられています。
HPVは、主に性交渉によって感染するウイルスです。特別な人だけが感染したり女性だけが感染したりするわけではありません。
男性が感染することもあり、性交渉の経験がある人ならほとんどの人が一生に一度は感染すると言われるほど一般的なウイルスです。
性交渉の際にコンドームを使用するとHPVへの感染確率を下げることはできますが、100%防げるわけではありません。HPVは外陰部や肛門などのコンドームではカバーしきれない範囲にも存在するためです。
※参照元:NPO法人ピルコン「子宮頸がん・HPV」 (https://pilcon.org/help-line/cervicalcancer)
HPVには100種類以上の型があり、そのうち性器周辺に感染するウイルスは40種類とされています。これらの中でも子宮頸がんになるリスクが高いのは13種類ほどで、これらのHPVは「高リスク型HPV」と呼ばれます。
特に、がんになるスピードが速いとされるのは16型と18型のHPVです。ただし、高リスクHPVに感染したからと言って、必ずしもがんが発症するわけではありません。
高リスク型HPVに10年以上の長期間にわたって感染が持続した場合、子宮頸がんに進行する可能性は高まるものの、ほとんどの場合は一過性の感染で、免疫力によって自然に消失します。
※参照元:あおぞらクリニック(https://www.aozoracl.com/HPV)
子宮頸部異形成とは、子宮頸部(子宮の入口)がHPVに感染することで正常な細胞が変化した状態を指します。
HPVに感染しても免疫力によってほとんどが自然治癒しますが、一部は軽度異形成の状態からゆっくりと進行し、段階を経てがんになるとされています。そのため、子宮頸部異形成が見つかった場合、定期的に細胞診などの検査をしながら経過観察するのが一般的です。
子宮頸部異形成の進行は、3~4ヵ月程度で1段階進行します。軽度異形成が見つかった場合、3~4ヵ月後に再検査を行って、次の段階に進行していないかを経過観察します。
※参照元:出馬クリニック(http://www.izuma-clinic.biz/sikyu/)
最近になって、子宮頸がん検診で行われる「細胞診」が陰性であっても一部病変が潜んでいるケースがあることが分かってきました。
そこで欧米を中心に行われているのが、細胞診とHPV検査の併用です。日本でも強く推奨されており、検診を併用する医療機関が増えてきています。細胞診とHPV検査を併用するとほぼ100%異常を発見できるため、早期の治療が可能です。
HPV検診では、高リスク型HPVに感染しているか否かを調べられます。「簡易ジェノタイプ判定」では、さらに16型・18型に感染していないかが分かります。
※参照元:東京メディカルクリニック 人間ドック・健診センター(https://www.dock-tokyo.jp/planlist/cervical-cancer-screening.html)