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子宮頸がんの再発・転移

子宮頸がんの治療後も、気をつけなければならない再発と転移。ここでは、子宮頸がんの再発リスクや、転移が見られた際の治療方法などを解説していきます。

子宮頸がんの再発・転移とは

再発とは、治療によって肉眼的に確認できなくなったがん細胞が再び増殖し、大きくなって見えるようになる状態。転移とは、子宮頸がんのがん細胞が子宮頸部以外に広がり、他の臓器で確認されることを指します。

子宮頸がんの再発リスク

子宮頸がんの再発リスクは、がんが進行するほどに高まることが分かっています。とくに、検査時に骨盤リンパ節への転移陽性、子宮周辺の結合組織への浸潤が見られた場合、再発リスクは上昇。こういったケースについては、手術後に抗がん剤治療や放射線治療をプラスすることで、再発防止を図ることがあります。

ちなみに、子宮頸がんの再発時期は治療から2~3年後が75%。ただし、治療から5年以上経過したのちに再発するケースも見られるため、定期的な検査・観察を行っていく必要があります。

※参照元:がんプラス(https://cancer.qlife.jp/cervix/cervix_tips/article16507.html

5年生存率は放射線治療で異なる

子宮頸がんをはじめとするがんの余命は、5年生存率で表されます。その理由は、がん治療後を受けてから5年生存した場合、がんを理由に死亡する確率が低くなるからです。

子宮頸がんの5年生存率は、2009~2011年のデータで76.5%(参照:がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html#anchor4)。 しかし、再発が確認されたあとの5年生存率は全体の5%以下であるとされています。(参照:メディカルノート https://medicalnote.jp/contents/200520-001-TT

この再発後の5年生存率に関与しているのが、放射線治療です。再発した部位が骨盤内に限局しており、放射線治療の治療履歴がなければ放射線をあてることが可能。こうすることで、5年生存率が33~74%となることが分かっています(参照:がん診療ガイドライン http://jsco-cpg.jp/guideline/06_3.html)。

子宮頸がんにおける再発の治療

子宮頸がんが再発した場合の治療は、骨盤内に限局しているか、他の臓器に転移しているか、以前に放射線治療を受けたことがあるか、などによって変わってきます。さらに年齢や全身状態などを考慮し、放射線治療・化学療法・手術の中から最適なものが選択されます。

一般的に、子宮頸がんの再発治療には放射線治療・化学療法(抗がん剤治療)が用いられます。病巣が孤立性で限局しているケースでは手術が選択されることもありますが、適応となる症例は多くないようです。

骨盤内で再発した場合の治療

再発が骨盤内で限局している場合、以前に放射線治療を受けていなければ放射線治療が行われます。症状によっては、抗がん剤治療と併用する同時化学放射線療法が行われることもあります。

以前に放射線治療を受けた部位で、照射野内に再発が見られる場合は、症状を和らげるための化学療法が用いられます。術後合併症や実施可能な医療機関が限られるという課題はありますが、再発病巣や子宮の摘出を試みることもあるようです。

他の臓器に転移・再発した場合

子宮頸がんの転移で多く見られるのは、傍大動脈リンパ節(骨盤より上の大動脈周囲のリンパ節)・肺・脳・骨・肝臓といった臓器。1ヶ所~数ヶ所ほどの転移で部位が限られている場合は、手術・放射線治療を選択することが多くなっています。

複数の部位にまたがってがんが転移している場合は、全身療法となる抗がん剤治療が選択されます。使用されるのは、主に細胞の増殖を阻害する細胞障害性抗がん薬、がん細胞の表面にある遺伝子・たんぱく質を狙って攻撃する分子標的薬が併用されることもあります。

また、部位や症状によっては、がんによる症状をやわらげQOLを高める緩和的放射線治療が用いられることも。この場合、より副作用の少ないトモセラピーを利用するという選択肢も考えられるため、検討してみると良いでしょう。

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