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子宮頸がんの予防法およびワクチン

多くの女性に感染リスクがある子宮頸がんですが、正しい知識を身につければ予防につなげることができます。ここでは、知っておきたい子宮頸がんの予防法とワクチンの基礎知識について解説していきます。

まず知っておきたい、子宮頸がんの発生要因

子宮頸がんの発生には、ヒトパピローマウイルス(HPV)の長期感染が関与していることが分かっています。その主な感染経路は性的交渉となっており、子宮頸がん・頸部前がん初見の7割は、HPVの16型もしくは18型に起因します。

性的交渉を経験するほとんどの人がHPV感染を経験しますが、多くの場合は免疫によって自然と排除されます。しかし、何らかの原因でHPVが排除されず長期的な感染が続くと、子宮頸がん発生のリスクが上昇。感染から5~10年ほどかけて、子宮頸がんに移行していきます。

子宮頸がんの予防法とワクチン

HPV感染予防には、免疫力を高めることが大事

先にも述べた通り、子宮頸がんの原因となるHPVに感染したとしても、そのほとんどが免疫によって除去されます。つまり、体に備わった免疫力をしっかり高めておくことが子宮頸がんの予防につながると考えられます。

免疫力を高める方法は、バランスの良い食事と適度な運動が基本。タバコや過度な飲酒は免疫力を低下させる原因となるため、節度ある利用を心がけましょう。また、太りすぎず痩せすぎずの適正な体型、体を清潔に保つことも重要です。

子宮頸がんの発症を防ぐHPVワクチン

子宮頸がんの原因となるHPV16型および18型については、2種類のワクチンが開発されています。この予防接種は、性的交渉によってHPVに感染する前(セクシャルデビュー)に行うことでもっとも大きな効果が得られるとされており、日本では小学校6年生~高校1年生相当の女の子を対象に予防接種が行われています。

HPVワクチンは公費助成で接種を受けることができますが、6ヶ月間に3回の接種が必要。3回の接種すべてで公費の助成を受けるためには、高校1年相当の年の9月までに最初の接種を受けなければなりません。

また、過去に予防接種の機会を逃した人のためにキャッチアップ接種が行われており、こちらは1997年(平成9年)~2005年(平成17年)生まれの女性が対象。ただし、キャッチアップ接種の期間は2022年(令和4年)より3年間となっています。

気になるHPVワクチンの副反応

HPVワクチンには、軽度な副反応と重篤な副反応が確認されています。軽度な副反応として見られるのは、発熱・接種部位の腫れや痛み、恐怖による失神など。一般的な予防接種の副反応としても、しばしば確認される症状です。

重篤な副反応として挙げられるのは、アナフィラキシー、手足の神経障害を伴うギランバレー症候群、頭痛や意識低下が見られる急性散在性脳髄膜炎。アナフィラキシーについては約96万回に1回、ギランバレー症候群・急性散在性脳髄膜炎については約430万回に1回の頻度となっています。また、持続的に体が痛む複合性局所疼痛症候群(CRPS)については、約860万回に1回の頻度です。

参照:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_qa.html#Q2-12

二次予防として重要な「子宮頸がん検診」

子宮頸がんは、HPV感染からがんに移行するまでに5年~10年ほどの期間を要し、浸潤がんになる前段階として異形成が存在します。この異形成の段階で発見できれば高い確率での治癒が期待できるため、定期的な子宮頸がん検診を受けることが重要です。

子宮頸がん検診は20歳以上の女性であれば誰でも受けることができ、多くの市区町村で検診費用を公費負担しています。検診の頻度は、2年に1回が目安です。

検診内容は、医師による問診、子宮頸部の細胞診またはHPV検査、内診および視診。細胞診とは、採取した細胞にがんを疑うような異常がないかをチェックする検査。HPV検査とは、採取した細胞にHPV感染があるかないかを調べる検査となります。

細胞診の場合はクラスIIIa以上、HPV検査の場合は陽性(+:感染あり)となった場合、精密検査を受ける必要があります。早期発見・早期治療につなげるためにも、必ず検査を受けるようにしましょう。

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