がん治療では、治療内容によって脱毛が起こることがあり、予防することはできません。しかし、事前の心がまえや準備について知っておくことで不安を和らげ、外見の変化にも焦らず過ごせるようになります。
がん治療における抗がん薬や放射線治療は、細胞分裂が活発な細胞に影響を与えるとされています。特に、体毛を作るもとになる「毛母細胞」というところは細胞分裂が活発なため、治療のダメージを受けやすく、治療を続けていると脱毛が起こります。
脱毛は、命には関わらないものの、心に与える影響が大きい副作用のひとつです。髪の毛が抜け落ちる不安は精神的なダメージにつながりますし、実際に髪の毛が抜けはじめると、気分がふさぎ込みがちになります。
すべての薬物療法や放射線治療で脱毛が起こるわけではありません。投与する薬剤や放射線治療によって脱毛の程度は異なり、同じ治療でも個人差があります。
ここで知っておくべきなのは、脱毛はあくまで一時的な副作用であり、治療が終われば再び生えるという点です。
薬物治療による脱毛は薬剤を投与してか12~3週間後、放射線治療では治療開始からおよそ2~3週間後から始まりますが、多くの場合、治療が終わってから3~6カ月すると毛がまた生えはじめます。はじめはうぶ毛のような柔らかい毛ですが、徐々に短い毛が生えるようになり、6カ月~1年程度でほぼ回復します。
※参照元:がん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/support/condition/alopecia/index.html)
静岡県立静岡がんセンター「放射線治療と脱毛(PDF)」(https://www.scchr.jp/cms/wp-content/uploads/2016/01/sonota_housyasendatumou.pdf)
薬物治療の場合、脱毛は全身で起こります。髪の毛以外で目立つ場所としては眉毛やまつ毛ですが、眉毛やまつ毛は髪の毛よりもあとから抜けるので、焦らずに準備できます。
放射線治療による脱毛は、放射線を照射した部位のみです。放射線を頭に照射した場合には髪の毛が抜けますが、照射する部位が頭でなければ髪の毛が抜けることはありません。子宮がんにおける放射線治療の場合、髪の脱毛はほぼ心配ないと考えられます。
がん治療による脱毛は、一時的なものなので過度に慌てる必要はありません。脱毛と上手に付き合っていけるよう、自分にできる準備をして不安を和らげることが大切です。
抜け落ちていく髪を実際に目にすると、少なからずショックを受けるものです。特にロングヘアーだと脱毛が目立ちやすく、喪失感で気分が落ち込みやすくなります。脱毛する治療と医師から伝えられたら、脱毛に備えて髪型をショートヘアにしておきましょう。
短くカットしておけば脱毛も目立ちにくく、抜けた際の処理も楽になります。さらに、明るい色に染めておくと、脱毛したときに目立ちにくくなります。
帽子やバンダナなど、肌を守る小物を揃えておくのもおすすめです。帽子は紫外線から肌を守ってくれるほか、寒さ対策にもなります。眉毛やまつ毛の脱毛に備えて、サングラスを用意しておくのも良いでしょう。鼻毛の脱毛対策にはマスクが役立つので準備しておくと安心です。
がん治療の脱毛で、ウィッグを使わずに帽子やバンダナで過ごす人もいますが、ウィッグを希望するなら揃えておくと良いでしょう。
治療中のウィッグに特に決まりはなく、ファッションウィッグと医療ウィッグのどちらでも構いません。値段が高ければ良いというわけでもないので、自分の好みや予算に合わせて選ぶのがおすすめです。
脱毛しているからといって洗わないまま過ごしていると、毛穴が詰まって炎症を起こす原因となります。頭皮に傷みを感じるなどの症状がなければ、普段と同じようにシャンプーして頭皮を清潔に保ちましょう。
シャンプーの際は、頭皮を刺激しないようにやさしくゆっくりと洗います。頭皮に痛みやかゆみを感じるような場合は、無理にシャンプーをつけず、ぬるま湯で洗うだけにしましょう。
髪が抜け、頭皮がむき出しの状態のままでいると、気温や湿度に敏感になり、乾燥したり汗や皮脂が出やすくなったりします。外気や紫外線による刺激を避けるように生活することが大切です。
屋内でも楽にかぶれるバンダナやウィッグを着用し、外の刺激から頭を守るようにしましょう。
パーマ液やカラーリング剤は頭皮への刺激が強いため、治療前は問題なかった方も治療中は避けるようにしてください。おしゃれに過ごしたい方は、パーマやカラースタイルのウィッグで代用することをおすすめします。
治療終了後1年ぐらいを目安に、皮膚の状態を見ながら担当医の許可が出てから始めるようにしてください。