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子宮頸がんの生存率および余命

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって起こるとされる、子宮頸がん。もしこの子宮頸がんを発症してしまった場合、その生存率と余命はどのようになっているのでしょうか。

子宮頸がんの気になる生存率

国立研究開発法人国立がん研究センターの調査によると、新たに子宮頸がんであると診断された人の数は全国で10,879例(2019年)。死亡者数は2020年度で2,887人となり、2009~2011年の5年相対生存率は76.5 %となっています。

次に、がんの進行度別に調査された臨床進行度別5年相対生存率です。進行度については、病期(ステージ)とは異なり限局・領域・遠隔の3つに区分されています。

限局とは原発臓器、つまり子宮頸部のみに症状が見られるもので、5年相対生存率は95.7%。領域とは所属リンパ節転移を伴うが隣接臓器への浸潤がない、または隣接臓器に浸潤しているが遠隔転移が見られない状態で、生存率は66.8%です。遠隔とは、遠隔臓器・リンパ節などに浸潤・転移が見られるもので、22.5%の生存率となっています。

※参照:国立研究開発法人国立がん研究センター(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html

考察

これを見ると、がんが子宮頸部のみに留まっている限局の状態で適切な治療を受ければ、95.7%の人が5年後も生存していることが分かります。つまり、子宮頸がんの生存率および余命は、早期発見・早期治療が重要なポイントとなっているのです。また、手術・化学療法・放射線治療といった選択した治療法、組み合わせ、患者自身の持病などによっても生存率は変わってくると考えられます。

年齢別にみると、患者数が一気に増えるのは25~39歳。その後、49歳ぐらいまで横ばい状態となり、徐々に罹患率は減少していきます。性交経験のある女性であれば、誰でも1度は感染すると言われているヒトパピローマウイルス(HPV)。ワクチン接種をはじめとする予防を常に考慮し、定期的な検診を受けることで早期発見に努める必要があるでしょう。

※参照:国立研究開発法人国立がん研究センター (https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html

考慮したい、子宮頸がん末期の緩和ケア

他のがんに比べて、子宮頸がんの生存率は比較的高くなっています。遠隔転移が見られる末期であっても5年生存率は約20%となっていますが、どこに転移するかで治療方法や全身状態も変わってくるため、予後については必ずしも良好であるとは言えません。

Ⅲ期以降は手術を選択できなくなり、子宮頸がんの末期は緩和ケアが中心となってきます。緩和ケアとは、がんの症状を抑えて患者のQOL(Quality Of Life:生活の質)を向上させるためのもの。痛みや身体的な苦痛をやわらげ、患者本来の「自分らしさ」を取り戻すことを目的としています。

緩和ケアにも用いられるトモセラピーとは

症状の緩和には抗がん剤治療(化学療法)・放射線治療が用いられますが、抗がん剤は身体的・精神的にも負担が大きめ。しかし、放射線治療と組み合わせることにより、その負担を軽減する効果が期待できます。

現在では、従来の放射線治療に比べて正常組織へのダメージが少ないトモセラピーも、緩和ケアの手段として注目されています。

トモセラピーによる緩和ケアで期待できるのは、「骨転移による痛みの緩和」「麻痺・しびれといった神経障害の緩和」「がんが原因で起こる出血の止血」など。トモセラピーは360度方向から複数個所に放射線を照射でき、治療にかかる時間や体への負担も少なめ。コンピュータ制御で正常組織へのダメージを抑えられるため、放射線治療による副作用も少なくなっています。

場合によっては、トモセラピーはⅢ期以降の子宮頸がんでも根治を目指せる可能性があります。当サイトでは、トモセラピーを提供している医療施設を多数ご紹介していますので、情報を参考にしてみてください。

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