20~30代という、若い世代でもかかりやすい子宮頸がん。定期的な検診や生活習慣の見直しといった予防面だけでなく、将来のリスクに備えて治療にかかる費用についても知っておくことが大切です。
子宮頸がんは、がんの前段階である子宮頸部上皮内腫瘍からステージⅠ~Ⅳまで、症状の進行度によって分けられています。もちろんステージごとに治療法も異なるため、費用にもバラつきが見られます。保険適用(3割負担)で手術を受けた場合、窓口で支払う費用の目安は以下の通りです(2022年10月時点、当サイト編集チーム調べ)。
手術後に抗がん剤治療・放射線治療を組み合わせる場合は、さらにその分が加算されます。
また、手術を受けた後も体調や再発の状態を見るために定期検査を受けなければなりません。検査の目安は、術後1~2年目は1~3ヶ月ごと、3年目は3~6ヶ月ごと、4~5年目は6ヶ月ごと、6年目以降は1年ごとに行われます。検査の内容はステージや症状によっても異なりますが、子宮頸部細胞診・血液検査・腹部X線検査・CT・MRIなどが用いられます。
子宮頸がんの治療は保険適用となりますが、その自己負担額は3割。症状や治療方法、入院期間などによっても費用は変わってきますが、内容によっては高額な治療費が必要になるケースもあります。
しかし、その自己負担額は健康保険の「高額療養費制度」によって抑えることが可能です。高額療養費制度とは、同一月にかかった医療費が一定額を超えた場合、自己負担限度額の超過分が払い戻される制度。自己負担額は年齢・収入によって変わってきますが、70歳未満は以下の通りとなります。
所得区分 | 自己負担限度額 | 多数該当 |
① 区分ア (標準報酬月額83万円以上の方) (報酬月額81万円以上の方) |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | 14万0,100円 |
② 区分イ |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
③ 区分ウ |
80,100円+(1-267,000円)×1% | 44,400円 |
④ 区分エ (標準報酬月額26万円以下の方) (報酬月額27万円未満の方) |
57,600円 | 44,400円 |
⑤ 区分オ(低所得者) (被保険者が市区町村民税の非課税者等) |
35,400円 | 24,600円 |
ただし、高額療養費制度は月単位での計算となるため、月をまたいで治療費がかかる場合は適用されないので注意しましょう。
子宮頸がんの治療費には、保険が適用されないものもあります。
主な費用としては、通院・入院時の交通費、個室や少人数部屋を利用する際の差額ベッド代、入院時の生活費(日用品など)、入院時の食事療養費など。また、抗がん剤治療で脱毛が見られた場合に使用する医療用ウィッグも、すべて自己負担となります。
公的医療保険の対象外となる、先進医療に係わる費用も全額自己負担です。子宮頸がんの場合、重粒子線治療や陽子線治療などがこれに該当し、医療機関によっても異なりますが数百万円ほどの費用がかかることもあります。ただし、先進医療を選択する場合でも、検査・診察・投薬・入院料といった一般保険診療と共通する部分については、保険給付を受けることが可能です。
子宮頸がんは、各種検査を踏まえて診断が確定し、治療方針が決まらないと具体的な医療費が分かりにくくなっています。ステージにもよりますが、多くのがん治療は長期にわたることが多いため、セカンドオピニオンの利用も視野に入れると良いでしょう。いろいろな医師の意見を聞いたうえで、自分自身が納得できる治療法を選ぶことが大切です。
子宮がんの治療は、その進行度(ステージ)により選択される治療法が異なります。こちらでは、ステージ0〜Ⅱの早期子宮がんに対する「ロボット支援手術」と、ステージⅢ〜Ⅳに進行したがんに対応する「トモセラピー」の各治療法について詳しく解説します。
各治療法の特徴や適用される患者層、そして東京でこれらの治療を提供しているクリニックも併せて紹介し、患者さん皆様の治療の選択に役立つ情報をお届けします。
ロボット支援手術とは、da Vinci(ダヴィンチ)と呼ばれる技術を搭載した手術支援ロボットを用いて行われる手術です。医師は直接患者にメスを入れるのではなく、ロボットアームが映し出す3D画像を元に治療を行います。
日本では2018年より保険適応の手術となりました。これまでの治療法に代わり、今後一般的になっていくことが期待される治療法です。
ロボット支援手術は、身体に小さな穴をあけて治療を行うため、傷あとを小さく抑えることが可能です。
手術時の切開が小さいロボット支援手術であれば出血量を抑えられるため、早期の回復が期待できます。
開腹手術と比べると、出血量は20分の1、入院日数は4分の1といわれています。
ロボット支援手術で使用する「da Vinci(ダヴィンチ)」は、鉗子(かんし)というアームの動きで、腹腔鏡手術では難しかった、数ミリ単位の血管や神経の縫合を可能としました。
こちらでは「日本婦人科ロボット手術学会プロクター(技術指導医)」の資格を持つ医師をご紹介します※。日本婦人科ロボット手術学会プロクターは、婦人科の領域におけるロボット治療技術を全国の医師に指導している存在であり、2020年8月時点では国内に12名、東京に至っては3名だけとなっています。※参照元:日本婦人科ロボット手術学会(http://jsgrs.kenkyuukai.jp/information/)
2020年4月に婦人科を新設し、泌尿器科と密に連携しながら患者さん一人ひとりに適した治療を提供しています。手術支援ロボット「da Vinci(ダヴィンチ)」を2台導入し、2人の術者による手術体制を実現。これにより、さらなる技術向上を目指し、質の高い手術が提供可能です。紹介状がなくても初診予約が可能です。
婦人科領域のロボット支援手術を
国内で初めて※成功させた第一人者
井坂惠一先生は、2009年に国内初の婦人科ロボット支援手術を成功させたパイオニアであり、日本婦人科ロボット手術学会の理事長を務めています。婦人科腫瘍の手術を中心に、身近な疾患にも柔軟に対応し、泌尿器科とのチーム医療を積極的に取り入れながら、後進の育成にも力を注いでいます。
所在地 | 東京都三鷹市下連雀4-8-40 |
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診療受付時間 | 8:30~11:30 (診療時間 9:00~12:00) 13:00~16:00 (診療時間 13:30~16:30) ※土曜日は午前のみ診療 |
電話番号 | 0422-47-1000 |
腫瘍内科や放射線治療科などと連携し、地域のかかりつけ医と協力した診療を進めています。2023年には子宮体がん55症例、子宮頸がん36症例といった実績をもち、保険適用の低侵襲手術に対応。診療費に加えて選定療養費が必要ですが、初診予約が可能です。
婦人科悪性腫瘍の診療に従事する、
国内におけるHPV研究者の一人
松本光司先生は、昭和大学病院の教授として婦人科悪性腫瘍の診療に従事し、HPV研究者の一人です。産婦人科医として経験を重ね、現在はロボット手術を含む先端技術を駆使した治療を担当。多くの論文や出版物に携わり、子宮がんやHPVに関する治療技術の発展にも貢献しています。
所在地 | 東京都品川区旗の台1-5-8 |
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診療受付時間 | 月曜~土曜 : 8:00~11:00(初診) |
電話番号 | 03-3784-8000(代表) |
2018年に保険適用が認められた早期子宮がんに対するロボット支援手術を提供しており、条件を満たす患者さんに対して治療を実施しています。産婦人科を専門とする医師がダヴィンチ手術のライセンスを保有し、術者または介助者として手術をサポートします。
ロボット支援手術プロクターとして
技術を認められた唯一※の女性医師
都内の婦人科ロボット手術のプロクターとして、技術を認められている唯一の女性医師です。不妊症や内視鏡手術を専門とし、技術指導も担当。子宮がん治療におけるロボットシステム導入に関する研究を発表し、婦人科領域でのロボット手術の発展に寄与しています。
所在地 | 東京都新宿区西新宿6-7-1 |
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診療受付時間 | 初診紹介状なし: 火曜~金曜8:00~11:00 初診紹介状あり: 月曜~金曜8:00~14:30、 土曜(第2、4週を除く)8:00~11:00 |
電話番号 | 03-3342-6111(代表) |
トモセラピーとは放射線治療のひとつで、
従来の放射線治療装置とCTスキャナが融合したシステムです。毎回の治療ごとに正確な照射位置合わせを行ない、正常な組織を避けてがんだけに放射線を集中照射できます。
再発がんや多発転移がんでも治療が可能なため、根治治療から緩和ケアにおける痛みの軽減目的にまで、幅広く実施されています。
すでに摘出手術での対応が難しい悪性腫瘍にアプローチできます。
リスクが高いと判断された場合でも、副作用やリスクの少ない体にやさしい治療が受けられます。
正常な臓器と病変が近接している場合や、複雑な形状の病巣の場合でも、正常な臓器にダメージを与えないようミリ単位で照射を合わせることができます。
従来の放射線治療と比較すると、正常な部位に被ばくを与える影響が少なく、痛みもほとんど無いため、体に負担をかけず治療が可能です。
1度に大量の照射を行うと副作用が大きくなるため、1回あたり平均10~20分程度の照射を数回~数十回に分けて行います。短期間で集中して治療が可能です。
2022年9月時点で、東京都内でトモセラピーによる子宮がん治療を行う病院・クリニックの数は8院のみ。さらに自由診療を行う病院に所属しており、「公益社団法人日本医学放射線学会学」「公益社団法人日本放射線腫瘍学会学」に所属する医師は2名のみとなっています。当サイトではこの2名をご紹介いたします。
主に進行期、末期がんの患者さんに対応しているクリニックです。他院で治療が難しいとされた方や、余命宣告を受けてしまった方にも治療を行います。その際は可能な治療内容や限界を丁寧に説明します。照射の際は病巣に対して正確な位置に集中させる技術を駆使し、正常な組織を保護しながら、寝台での身体補正や多方向からの照射を行います。
照射部位によるがんの制御率89.8%を誇る※
自由診療のトモセラピーを専門的に扱う
40年以上にわたるがん治療経験を持つ医師で、多くの進行期・末期の患者さんに対し、心身をしっかり考慮をしたうえで、診断や治療に対応しています。2022年度の年間実績は106例、2021年には118例の実績をもち、多くの末期がん患者の治療実績があります。
所在地 | 東京都渋谷区元代々木町33番12号 |
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診療受付時間 | 9:00~17:30(土日祝休診 予約制) |
電話番号 | 03-6407-9407 |
高精度放射線治療装置3台とMRI画像誘導装置1台を導入し、根治から緩和治療まで幅広いがん治療に対応できる環境を用意しています。患者さんが直接放射線科で受診できる体制を整え、診療から治療開始までの時間短縮に取り組んでいます。仕事を続けながら治療に取り組む人のために、22時まで診療を行っています。
チームワーク治療で
トモセラピーに特化したを提供
「チームワークを組織運営の要」とし、各診療科と密に連携しながら患者さんに寄り添ったがん治療を提供。。患者さんの不安に寄り添い、聞きたいことや伝えたいことを大切にしながら治療に取り組んでいます。がん治療における不安を払拭できるよう、セカンドオピニオンにも対応してくれます。
所在地 | 東京都江戸川区東小岩2丁目24-18 |
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診療受付時間 | 水・木 8:20~11:30 |
電話番号 | 03-3673-4892 |
高精度で微細な操作ができるため、がん組織を最小限に留めながら切除ができます。
考えている方
手術後の身体的な回復が早いため、生殖能力を温存できる可能性が高く見込めます。