子宮体がんの手術を受けた後、退院前後の外来で「病理組織診断報告書(病理レポート)」に基づいた最終的な結果説明が行われます。このレポートには、摘出した臓器を顕微鏡で詳しく調べた結果が記されており、今後の治療方針(抗がん剤治療や放射線治療が必要かどうかなど)を決定する非常に重要なものです。
しかし、報告書には専門用語やアルファベット、数字が多く並んでおり、一見しただけでは内容を理解するのが難しいことが一般的です。ここでは、病理結果に記載されている主な用語の意味と、その見方について解説します。
手術前の検査(MRIやCT、生検など)でつけられた診断は「臨床診断」と呼ばれ、あくまで予測を含むものです。これに対し、手術で摘出した組織を詳しく調べて確定したものを「病理診断」と呼びます。
病理結果によって、最終的な「進行期(ステージ)」が確定します。レポートには主に以下の4つの要素が詳しく書かれています。
がん細胞がどのような形や性質をしているかによる分類です。子宮体がんにはいくつかの種類があり、大きく「類内膜がん」と「それ以外(特殊型)」に分けられます。
子宮体がんの中で多いタイプです。女性ホルモン(エストロゲン)との関連が深く、比較的おとなしい性質のものが多いとされています。
類内膜がん以外に、漿液性(しょうえきせい)がん、明細胞(めいさいぼう)がん、がん肉腫などがあります。これらは類内膜がんに比べて進行が早く、再発のリスクが高い傾向にあるため、早期(ステージI期)であっても抗がん剤治療が推奨されることがあります。
「グレード(G)」とは、がん細胞が正常な細胞の性質(形や並び方)をどれくらい保っているかを表す指標です。主に類内膜がんで用いられ、数字が大きくなるほど正常な形からかけ離れ、顔つきが悪く(悪性度が高く)なります。レポートでは「G1」「G2」「G3」や、「高分化」「中分化」「低分化」と記載されます。
子宮体部(子宮の壁)は、内側の「内膜」と外側の分厚い「筋層(筋肉の層)」でできています。がんは内膜から発生し、進行すると外側の筋層へと深く入り込んでいきます。これを「筋層浸潤」と呼びます。
浸潤がどの程度まで達しているかが、ステージ(I期)を決定する重要な要素となります。
一般的に、筋層の厚みの半分を超えているかどうかが基準となります。
がん細胞が、子宮の壁の中にある「リンパ管」や「血管(静脈)」の中に入り込んでいるかどうかを示す項目です。これを「脈管侵襲(みゃっかんしんしゅう)」と呼びます。
目に見える転移がなくても、この脈管侵襲がある場合は、体の中に微細ながん細胞が散らばっている可能性(再発リスク)が少し高くなると考えられています。
プラス(+/Positive)やマイナス(-/Negative)で表記されるほか、以下のような略語が使われることがあります。
がんが子宮の入り口(頸部)の壁(間質)まで広がっているかどうかです。これがある場合はステージIIとなります。
手術時にお腹の中の洗浄液を採取し、がん細胞が浮遊していないか調べる検査です。以前はステージ決定の要素でしたが、現在は予後を予測する因子の一つとして扱われています(陽性の場合は再発リスクがやや高いと考えられます)。
主治医は、これらの病理結果(組織型、グレード、筋層浸潤の深さ、脈管侵襲の有無など)を総合的に組み合わせて、「再発リスク」を判定します。
再発リスクは一般的に「低リスク」「中間リスク」「高リスク」などに分類され、これに基づいて手術後の追加治療(アジュバント療法)を行わないか、あるいは抗がん剤治療や放射線治療を行うかが決定されます。
レポートの内容で不明な点や不安な言葉があれば、遠慮なく主治医に質問し、ご自身の病状を正しく理解することが大切です。